このブログポストではSAP Product Footprint Management(PFM)のビジネスコンテンツのインポートおよび利用方法を紹介します。また、本ブログは2022.08バージョンでの内容を記載しており、今後機能追加により、アップデートされる可能性があります。

SAP Analytics CloudとSAP Product Footprint Managementの接続概要

コンテンツパッケージユーザガイドでPFMのビジネスコンテンツの内容を確認することが可能です。

以下はヘルプから抜粋したPFMのビジネスコンテンツの概要となります。

ODataサービスを利用して、PFMからフットプリントのデータを抽出し、SACのインポートモデルにデータを格納します。製品ごとの温室効果ガス(GHG)のフットプリント計算はPFMで実行し、SACは製品ごとのフットプリントの計算結果を分析するためのストーリーを提供しています。PFMのコンセプトについては、オンラインヘルプを参照してください。

2022年12月現在、PFMのビジネスコンテンツはサプライチェーン排出量Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)のみを対象としています。PFMで計算された購入した製品および製造した製品のフットプリントを期間/製品/サプライヤまたはプラントなどで分析することが可能です。

PFMでは輸送フットプリントの計算も可能となっていますが、PFMのビジネスコンテンツにはまだ反映されていません。

PFMおよびSACで提供される最新情報はブログで定期的に更新されているので、参考にしてください。

SAP Product Footprint Management: Q1-22 Updates & Highlights

SAP Product Footprint Management: Q2-22 Updates & Highlights

SAP Product Footprint Management: Q3-22 Updates & Highlights

SAP Product Footprint Management: Q4-22 Updates & Highlights

 

以下の順番でPFMのビジネスコンテンツを説明します。

  1. PFMのビジネスコンテンツのインポート
  2. SACとPFMの接続
  3. データの更新
  4. ビジネスコンテンツで提供されているストーリーの概要
  5. ビジネスコンテンツで提供されているモデルとサンプルデータの概要

 

1.PFMのビジネスコンテンツのインポート

SAP Analytics CloudのコンテンツネットワークからPFMのビジネスコンテンツをインポートします。SACのビジネスコンテンツの探し方とインポート方法は以下のブログを参考にしてください。

SAP Analytics Cloudのビジネスコンテンツの探し方とインストール手順

 

コンテンツネットワークからビジネスコンテンツのタイルを選択し、PFMのビジネスコンテンツを選択します。以下は検索ウィンドウでproductを入力した検索結果です。

インポートオプションですべてのオブジェクトを選択してインポートボタンをクリックします。サンプルデータも用意されており、インポート時にデータもインポートされます。もしデータが不要な場合は、データ取込のフラグを外してください。

インポートが正常終了すると、以下のフォルダでインポートされたストーリーやモデルを確認することができます。

Myファイル/公開/SAP_Content/SAPPFM_Product_Footprint_Management

サンプルデータをインポートした場合、以下のようにストーリー(SAP__SUS_GEN_FootprintAnalytics_Overview)でデータを確認することが可能です。ただし、サンプルデータは2020年1月~2022年5月で提供されているため、ストーリーで選択されている期間によっては、データが表示されないので、注意してください。

以下のストーリーの場合、右上の選択で、サンプルデータのある年月を選択してください。

サンプルデータでどんなデータが提供されているかは、SACのデータアナライザで確認することが可能です。

 

2.SACとPFMの接続

次に、SACとPFMを接続します(オンラインヘルプ)。ビジネスコンテンツでインポートされた接続のパラメータを接続するPFMの値で更新することで接続を行います。

SACの接続メニューで「SAP__PFM_ProductFootprints_OData」を検索します。

接続を選択して、編集ボタンをクリックして、必要な情報を更新します。

オンラインヘルプに記載されているように、BTPコックピットのインスタンスからView Credentialボタンをクリックし、必要な情報を取得します。

項目
データサービスURL “apihost”の値に/footprintdata-analytics-service/v1/odata/v4/footprintdataanalytics/v1/を追加して入力します
OAuthクライアントID “clientid”の値を入力します
シークレット “clientsecret”の値を入力します
トークンURL “url”の値に/oauth/tokenを追加して入力します

 

3.データの更新

PFMと接続した後に、PFMからデータを更新します。データ更新対象は、公開ディメンジョンと明細および集計のトランザクションとなります。

 

  • 公開ディメンジョン

PFMのモデルの公開ディメンジョンは「SAP__SUS_GEN_ProductHierarchy」のみとなります。

以下の2つのデータソースがあるので、それぞれ実行してデータを更新します。

  • 明細のフットプリント

明細モデル「SAP__SUS_GEN_IM_ProductFootprints_LineItem」に対して、データを更新します。モデルの管理画面のデータ管理からデータを更新します。

 

  • 集計のフットプリント

集計モデル「SAP__SUS_GEN_IM_ProductFootprints_Consolidated」に対して、データを更新します。モデルの管理画面のデータ管理からデータを更新します。

ヘルプにも記載されている通り、公開ディメンジョンについては、PFMでマスタが追加・更新された後にデータ更新を行えば、十分です。また、フットプリントについては、PFMでフットプリント計算を実行した後に、データ更新を行う必要があるので、注意してください。

 

4.ビジネスコンテンツで提供されているストーリーの概要

最後に、PFMのビジネスコンテンツで提供されているストーリーについて、簡単に説明します。冒頭で触れたように、現時点のビジネスコンテンツはScope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)が対象となっています。

ストーリーでは、サプライヤから購入した製品のフットプリント(購入数量×各製品の排出係数)と自社で製造した製品のフットプリント(購入した製品のフットプリントをBOMで積み上げたフットプリント)をインフローと在庫の観点から分析することが可能です。

また、使用されているキー数値は、基本的に以下の2つです。

  • トータルフットプリント:特定期間の製品の計算された CO2e 値(数量×排出係数)
  • ユニット別のフットプリント:特定の期間に対して計算された製品の単位数量ごとの CO2e 値 (例: Kgあたりの CO2e)

上記2つのキー数値を切り替えながら分析を行うことが可能です。

それでは、提供されている4つのストーリーについて、簡単に説明します。

 

  • Analyze Product Carbon Footprints

PFMで提供されているストーリーで概要を分析することが可能なストーリーです。購入した製品および製造した製品のインフローおよび在庫(*)の単月のフットプリントおよび2年間のトレンドを確認することができます。また、他の詳細ストーリーへのリンクが用意されており、他の詳細ストーリーへ遷移することが可能です。

*在庫は選択した月の前月の在庫+当月のインフロー-当月のアウトフローで計算されています。

このストーリーの右上の入力コントロールで分析する期間を指定することが可能です。初期値ではシステム日付の前月が選択されていますが、2年前までの年月を選択することが可能です。したがって、それ以上の期間を選択したい場合は、入力コントロールを変更する必要があります。

ここで選択した期間が、このストーリー上の他のチャート(時系列のチャートは除く)に反映されます。

次に、中段のチャート群の説明に移ります。ここは在庫のフットプリントに関する概要を確認することが可能です。左右で購入した製品と製造した製品で分かれていますが、構成は同じです。PFM側の計算テンプレートも購入した製品と製造した製品で分かれており、それぞれフットプリント計算が行われるために、ビジネスコンテンツのストーリーも購入した製品と製造した製品に分かれています。

これらのチャートは集計フットプリントのモデルから出力されており、選択した期間での計算タイプ(購入した製品および製造した製品)ごとのトータルのフットプリント(括弧内は前年同月比較)と国ごとのトータルフットプリント、製品グループでのトータルのフットプリントおよび2年間のトレンドを確認することが可能です。

出力するキー数値は左下の入力コントロールで切り替えることが可能です。また、右下のリンクから、Analyze Carbon Footprint of Product Inventoryのストーリーに遷移することが可能です。

最後に、下段のチャート群の説明に移ります。ここはインフローのフットプリントに関する概要を確認することが可能です。これらのチャートは明細フットプリントのモデルから出力されています。左右で購入した製品と製造した製品で分かれていますが、構成は中段のチャート群と同じです。在庫移動のタイプがサプライヤからの入庫か、製造からの入庫かで分かれています。

出力するキー数値は左下の入力コントロールで切り替えることが可能です。また、それぞれ右下のリンクから、Analyze Carbon Footprint for Purchased Products、Analyze Carbon Footprint for Manufactured Productsのストーリーに遷移することが可能です。

 

  • Analyze Carbon Footprint of Product Inventory

次に、在庫のフットプリントのストーリーを説明します。このストーリーは3つのページから構成されています。また、このストーリーのデータは集計フットプリントのモデルから出力されています。

  • Inventory Analysisページ

ヘッダにpurchased_productsとありますが、フィルタ領域の計算タイプで購入した製品と製造した製品を切り替えることにより、ページに出力される情報を切り替えることが可能です。

また、上段には選択した計算タイプや他の条件の前月の在庫のトータルのフットプリント、数量、ユニット別のフットプリント(括弧内は前年同月比較)が表示されます。システム日付を元にした前月の値が表示されることに注意してください。上記の例では、2022年11月が前月となりますが、サンプルデータには存在しないため、データが表示されていません。

フィルタ領域の上には、PFMの計算ステータスの状況が表示されています。以下は、PFMで2,793回のフットプリント計算が実行され、そのうち2,695回が正常終了、98回が問題ありで終了、失敗に終わった計算はなかったことを表しています。

フィルタ領域で選択した条件がページに反映されます。計算ステータス=失敗以外は初期値で表示されています。

次に中段のチャート群の説明に移ります。

上の段はフィルタ領域で選択された条件で、平均トータルのフットプリント、平均在庫数量、ユニット別の平均フットプリントが表示されます。下の段は、左側は選択したキー数値を国別に地図表示し、右側は選択された期間のトータルのフットプリント、在庫数量、ユニット別のフットプリントのトレンドを表示します。

最後に、下段のチャート群の説明に移ります。

左から、国ごと、プラントごと、製品グループごとの値とトレンドを表示します(それぞれ上位7まで)。表示するキー数値はそれぞれ入力コントロールで切り替えることが可能です。

 

  • Inventory Heatmapページ

次に、Inventory Heatmapのページを説明します。ただ、ヒートマップのチャート以外はInventory Analysisのページと共通なので、割愛します。

ヒートマップのチャートでは、トータルのフットプリントとユニット別のフットプリントでそれぞれ選択したディメンジョン(初期値は製品とプラント)のヒートマップを表示することが可能です。これにより、ディメンジョンの組み合わせで、トータルのフットプリントとユニット別のフットプリントを分析することが可能です。

たとえば、以下の例ではトータルのフットプリントで見た場合、製品Cocoa Beansはそんなに悪くないですが、ユニット別のフットプリントで見た場合、非常にフットプリントが高いことが分かります。一方で、製品Butter(Cow Milk)のユニット別のフットプリントは比較的高いですが、プラントWDF1010のトータルのフットプリントが他のプラントと比較して非常に高いことが分かります。

  • Inventory Table Viewページ

最後に、Inventory Heatmapのページを説明します。ただ、テーブル以外はInventory Analysisのページと共通なので、割愛します。

テーブル形式で、Inventoryのデータを表示することが可能です。

 

  • Analyze Carbon Footprint for Purchased Products

次に、サプライヤから購入した製品のインフローのフットプリントのストーリーを説明します。このストーリーは3つのページから構成されています。また、このストーリーのデータは明細フットプリントのモデルから出力されています。

  • Supplier Inflow Analysis

ヘッダにpurchased_products Inflow from Suppliersとありますが、このストーリーはフィルタ領域で、在庫移動IDがサプライヤからの入庫で固定されています。

また、上段には選択した条件の前月のインフローのトータルのフットプリント、数量、ユニット別のフットプリント(括弧内は前年同月比較)が表示されます。システム日付を元にした前月の値が表示されることに注意してください。上記の例では、2022年11月が前月となりますが、サンプルデータには存在しないため、データが表示されていません。

フィルタ領域の上には、PFMの計算ステータスの状況が表示されています。以下は、PFMで5,775回のフットプリント計算が実行され、すべてが正常終了したことを表しています。

フィルタ領域で選択した条件がページに反映されます。計算ステータス=失敗以外は初期値で表示されています。

次に中段のチャート群の説明に移ります。

上の段はフィルタ領域で選択された条件で、インフローのトータルのフットプリント、インフロー数量、インフローのユニット別のフットプリントが表示されます(Inflows from Productionとありますが、Inflow from Supplierの誤記と思われます)。下の段は、左側は選択された期間のインフロートータルのフットプリント、インフロー数量、インフローのユニット別のフットプリントのトレンドを表示し、右側は選択したキー数値を製品グループ別にツリーマップ表示します。

最後に、下段のチャート群の説明に移ります。

左から、国ごと、サプライヤごとの値とトレンドを表示します(それぞれ上位7まで)。表示するディメンジョン、キー数値はそれぞれ入力コントロールで切り替えることが可能です。

  • Supplier Heatmap

次に、Supplier Heatmapのページを説明します。ただ、ヒートマップのチャート以外はSupplier Analysisのページと共通なので、割愛します。

ヒートマップのチャートでは、トータルのフットプリントとユニット別のフットプリントでそれぞれ選択したディメンジョン(初期値は製品とサプライヤ)のヒートマップを表示することが可能です。これにより、ディメンジョンの組み合わせで、トータルのフットプリントとユニット別のフットプリントを分析することが可能です。

たとえば、以下の例ではトータルのフットプリントで見た場合、サプライヤIndo Cocoaから購入した製品Cocoa Beansはそんなに悪くないですが、ユニット別のフットプリントで見た場合、非常にフットプリントが高いことが分かります。一方で、サプライヤFrance Exportから購入した製品Butter(Cow Milk)のユニット別のフットプリントは問題ありませんが、トータルのフットプリントが非常に高いことが分かります。

 

 

  • Supplier Inflow Table Viewページ

最後に、Supplier Inflow Table Viewのページを説明します。ただ、テーブル以外はSupplier Analysisのページと共通なので、割愛します。

テーブル形式で、SupplierからのInflowのデータを表示することが可能です。

 

  • Analyze Carbon Footprint for Manufactured Products

最後に、自社で製造した製品のインフローのフットプリントのストーリーですが、在庫移動IDが製造からの入庫となるだけで構成は4.3 Analyze Carbon Footprint for Purchased Productsとほぼ同じで、ディメンジョンが多少異なるだけなので、説明は割愛します。

 

5.ビジネスコンテンツで提供されているモデルとサンプルデータの概要

PFMのビジネスコンテンツでは、以下の2つの分析(勘定)モデルが提供されています。モデルの詳細については、オンラインヘルプに記載があるので、ここでは概要の説明に留めます。

 

  • SAP__SUS_GEN_IM_ProductFootprints_LineItem

フットプリントの明細データを格納します。購入した製品だけでなく、自社で製造した製品のデータを移動ごとにインフローおよびアウトフロー数量、ユニット単位のフットプリント、トータルフットプリントとして保持しています。

勘定モデルとして勘定が分かれているため、各フットプリント計算に一意のFootprintIdが採番されており、FootprintIdでデータがグルーピングされています。

サンプルデータでは購入した製品のユニット単位のフットプリントはサプライヤごとに登録されているので、レコードはサプライヤごとに分かれて、トータルフットプリントが計算されています。

移動は「GoodsMovementID」の項目として管理されており、以下の区分があります。

内容説明
1 Goods Receipts from Suppliers
2 Goods Receipts from Other Plants
3 Goods Issues to Other Plants
4 Goods Issues to Customers
5 Goods Issues to Operations and Production
6 Goods Receipts from Production

上記で説明したインフローを分析するストーリーでは、上記の移動のうち、1(購入した製品)と6(自社で製造した製品)が対象となっています。

一方で、在庫を計算するうえでは、上記すべての移動が考慮されています。

  • SAP__SUS_GEN_IM_ProductFootprints_Consolidated

フットプリントの集計データを格納します。購入した製品だけでなく、自社で製造した製品のデータを明細の移動データを元に、前月在庫から当月のインフローおよびアウトフローを利用して、当月在庫を計算して。在庫数量、ユニット単位のフットプリント、トータルフットプリントとして保持しています。当月在庫数量やトータルフットプリントを計算するために、前月の在庫数量や当月のインフロー数量およびアウトフロー数量も保持しています。

明細と同様に、勘定モデルとして勘定が分かれているため、各フットプリント計算に一意のProductFootprintIdが採番されており、ProductFootprintIでデータがグルーピングされています。

まとめ

PFMのビジネスコンテンツのインポートから提供されているストーリーでどんな分析ができるかを説明してきました。冒頭にも記載した通り、2022.08バージョン時点の内容となっているため、PFMおよびPFMのビジネスコンテンツの機能は今後拡張される計画となっております。

本ブログも製品の拡張に合わせて更新していきたいと考えておりますが、まずは現時点でできることをご理解いただくための一助となれば幸いです。

Sara Sampaio

Sara Sampaio

Author Since: March 10, 2022

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